北の国から20××~約束~原作/スパイラル智哉

北の国から 20×× ~約束~

~1年前のあの約束、覚えてますか...。~

原作:スパイラル智哉



20xx年、9月5日。

僕は北海道は旭川に行った。
その年は猛暑で、暑さに慣れていないこの土地の人達はとても辛そうだった。
唸る様な暑さの中、なんとか仕事を終え、その夜僕は同僚達と飲みに行ったんだ。
魚料理屋でその土地ならではのご馳走に舌鼓。
酒がすすむ。
そのうち酔いもまわってきて気持ちが良くなった。
男だけで来ていたのでちょっと寂しい。
やっぱりみんな考えていることは同じだった。
「パーッといきますか!」
ネオン街が続く。
思っていたより大きな街で驚いた。
仲間のうちの1人が、とあるビルの前で客引きのニーチャンに捕まる。
結局僕等はその「BB」というお店に入ったんだ。
「いらっしゃいませ~」
幸い?店にはまだ客はおらず、お店の女の子ほとんど全員が僕等の席についてくれた。
下っ端の僕は一番最後にソファーに腰を掛けた。
そして横に座った女の子がおしぼりを渡しながら僕に話しかけた。
「いらっしゃいませユリアです...。」
ビッカ~ン!!!!!!
僕の脳天に稲妻が突き刺さった。ひでぶ!


かわいかった....。 イン旭川


「あ、どーも僕スパイラル。」
「スパイラル君?変わった名前ね」
これが僕とユリアの出会いだった。
~ドキドキしていた。チン太と彼女が重なっちゃった。~


どれくらい話したんだろう。そのうち僕は彼女に
「ねえ、1年後の今日、この場所で会わない?」と訊いた。
「え?1年後の今日?何時?」
「そーだな、午前零時と言いたいところだが、正午で」
「うん分かった。でもスパ君て面白いね」
そして僕等はそんな「約束」をした。


そして僕とユーちゃんはその後一緒に飲みに行ったわけで。
旭川最後の日。
この日は大自然の一本道の通り沿いにある建物で仕事だった。
ユーちゃんのことが気になりながらも仕事を無事全て終え、皆で空港行きのバスを待っていた。
その時!
彼女がいた。
「ユ、ユーちゃん」
「来ちゃった......。スパ君」
オー!ジーザス。
どんなことを話したのだろう。思い出せない。でもほんの短い間だった。
そして迎いのバスが来た。
「帰っちゃうんだね...短い間だったけど、~いっぱい、いっぱいありがとう。by 怜~
じゃあ、元気で」
彼女の白い車が走り去る。だんだん遠くなっていく。
そしてブレーキランプが点いて僕の携帯が鳴った。
ユーちゃんからだった。
彼女は車から降りて僕のほうを見ている。
「なんか、なんか電話だとこんなに近く感じるのに、スパ君すごーく小さく見えるね」
「そっか.....そうだね」
僕は言葉にならなかった。
プシュー!バスが急がす。
運転手は長身で古尾谷雅人に似ている。いや、似ていない。
「もう行かなくちゃ。元気でね。」


~BGMは尾崎豊「I love you」をお願いします。~
♪I love you 若すぎる2人の愛にはふれられぬ秘密がある
 I love you 今の暮らしの中ではたどりつけない
 ひとつにかさなり生きていく恋を 夢見て傷つくだけの2人だよ
 何度も愛してるって聞くおまえは この愛なしでは生きてさえゆけないと...


そしてお互い逆方向に走り出す。
切なかった。ホント切なかった。


出来ることなら一緒に居たかった。
これが、この夏の終わりの出来事だ。