北の国から20××~約束~原作/スパイラル智哉

第6話




となりの席に居た女の子が僕の後ろから「あのー」と声をかけた。
振り返る僕。
「私、前にBBで働いていたことがあって、ユリアから今日のことを聞いていたんです」
「え?ユーちゃんから?」
「うん。この店にスパ君て男の人がもしかしたら来るかもしれないって」
「まじ?マジで!?」
「彼女ちょっと前に携帯を無くしちゃって、いろんな人の電話番号とかがわからなくなってしまったの。
でも今日、万が一あなたがこの店に来るようなことがあったら私の携帯番号を教えておいてって言われてたんです。」
オー、ジーザス!!!!!!!!!!!!!


僕はまたあの世へ逝きそうになってしまった。


天使たちが僕を天国へ引っ張っていってくれそうに感じた。
まだ早いのだと天使たちに丁重にお断り申した。
「すげー!ホントすげー!オーマイガット!スティーブガット」


勝負は最後の最期までわからないのだよスパイラル君。


オシッコ漏らしそうになった。いや、漏らしたかもしれない。
ねえ、これって凄くない!?
「ただ彼女実は喉の手術をして入院してるんです。とりあえずこれ、電話してあげてください。」
僕は彼女からユーちゃんの電話番号のメモをもらった。
いやー嬉しかったなぁ。
わかる?このときの僕の気持ち。


外は眠らない街のごとく、ネオンが輝いていた。
~僕は生卵5個を飲み、メインストリートを全速力で走り出した。
ダダダダダダダダダダダダ、ウオ~!
すると、後ろからたくさんの子供たちが、僕の後を追いかけ走って来た。
気が付いたら札幌まで走っていて、僕は時計台の前で
「エイドリア~ン!!!!!!!!」と叫んだ。~


僕は彼女に電話をした。
「スパ君?」
「うん、ごめんね夜遅くに。」
「来てくれたんだ。嬉しい。」
喉を手術したのと、病院というのもあって、彼女の声はやっと聞き取れるくらいの小さなものだった。
「実は明日退院なんだよ。会おうね。」
「ああ、必ず。じゃあ明日」
そしてお互い電話を切った。
短い会話だったけど、僕にはそれで充分だった。
初秋の夜風が気持ちよかった。


第6話終わり