北の国から20××~約束~原作/スパイラル智哉

第4話





彼女に会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。
気が付いたら僕はさっきのビルの前にいたんだ。
「あ~ぁ、これじゃルール違反だなぁ、店に入ったら彼女になんて言おう、偶然また出張で来たって事にでもしようか...。」
もともと彼女とは何も連絡は一切取らずに、この場所で会おうという僕の勝手なストーリーだったのだ。
それに彼女はこんな約束なんか覚えていないに決まってる!
そんなことを思いながらエレベーターで店がある階まで上がった。
「えーと、確かここだったよな、あれ?」
しかし入り口のドアは鍵が掛かっている。
つーか看板も何も無くなっている。
「嘘だろ...。」


一瞬目の前が真っ暗になった。


なんだか重いものが身体の上に乗っかったようだった。
店はつぶれていた。
「もうこの際だ、ユーちゃんに電話しちゃおう。かっこつけても仕方ないもんな、いーや軽いノリで行こう!」
なんとか僕の持ち前の心の切り替えの速さで、彼女の携帯に電話をすることにした。
えーと、これだ。発信。ポチッとな。
そして次の瞬間、さらに信じられないことが起きた。


「おかけになった電話番号は現在......」


僕は一瞬あの世に逝きそうになった。


「燃え尽きた、何もかも真っ白にな」あしたのジョー状態だった。
さすがの僕もこれはこたえた。
三途の川がちょっと見えた。
~ソータ兄ちゃんがこっちに来いって手招きしてた。~


どのくらいの間僕は放心状態が続いただろうか。
完全に終わった。
やっぱ僕は世界中で一番の大バカ者だ。イチバンだ。


~雨の中電信柱を拳で殴る、殴る。
真っ赤に血で染まった拳。
ゆっこおばさんが、「スパ!もうやめて!わかったから」と叫ぶ。~


第4話終わり